11月6日の「まつやま市民シンポジウム」(松山青年会議所、松山市主催)の一環で、公募で集まった市民が出演、スタッフとして参加する映画「ことばのおくりもの」の製作が大詰めを迎えている。
 映画は8月にクランクインし、学生や社会人ら約90人が参加している。愛媛県内ロケで自主製作する「ヒメブタの会」代表の森幸一郎さん(47)がメガホンを取った。
 「言葉の力」をテーマにそれぞれが悩みを抱える主人公の3姉妹が家族や周囲との関わりの中で成長していく物語。商店街や学校、山や川など松山の風景をバックに活写した。
 メンバーに経験者はほとんどおらず、初めは緊張し慣れない様子だったが、撮影を重ねていくうちに演技や技術を習得していた。助監督を務める谷絵里子さん(28)も公募で参加した一人。「いきなりの大役にびっくりしたし、最初は不安もあった。撮影進行や食事の手配など先回りして考え動かなければならず、いままで見えなかった大変さが勉強になる」と未知の世界に魅力を感じている。
 「表現したい気持ちがあり、人見知りを克服できれば」と参加した長女役で愛媛大3年の大橋梓さん(20)も演技の経験はなく、監督からの要望を一つ一つ確かめるように応える。「知らなかった方言なども面白さの一つ」と作品の見どころを紹介する。
 真面目さ故に進路に悩む次女を演じた愛媛大1年の伊藤優花さん(18)は「いろんな人と出会い支えられた。ここでできたつながりを大切にしたい」と語り「松山の良い景色を再発見してもらえれば」とPR。言語障害がある三女を演じた松山東雲高1年の広瀬里紗さん(15)は「表情の奥にある感情を出すのが難しい」と苦戦しつつも「登場人物の言動や心の変化を感じてほしい」と語った。
 森さんは「市民に楽しんでもらえる作品になると思う。今後、参加者が表現するきっかけになれば」と期待を込めた。
 シンポジウムと「ことばのおくりもの」の上映は松山市堀之内の市民会館で。午後4時半~、無料。